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「富山にはまだ気づかれていない面白さがある」職員写真家にインタビュー/庁内広報BEYONDより

富山県では、昨年度から「挑戦したい職員が、周囲の理解を得て、孤立することなく挑戦できる環境を作り、新しい一歩を踏み出す職員の後押しをする」をコンセプトとして、各プロジェクトや研修など様々な挑戦をしている職員を紹介する庁内広報「BEYOND(ビヨンド)」を運用しています。

今回は、先日更新されたBEYONDから、素敵な記事をリライトしてご紹介します。

趣味の写真撮影で数々の写真コンテストに入選し、その撮影技術を見込まれて業務内でも活躍している職員へのインタビュー記事です。ぜひご覧ください。


島田 舜也(しまだ・しゅんや)さん
平成25年4月に入庁。企業局、健康課、管理課などを経て、令和4年4月より航空政策課。写真撮影の趣味が高じ、富山県の観光パンフレットへの撮影写真の提供も行う。平成28年に射水市主催の「射水の自慢」フォトコンテストでグランプリを受賞したのをはじめ、朝日新聞社・全日本写真連盟主催の「日本の自然」写真コンテスト入選など県内外で様々な賞を受賞している。

ーー写真撮影を始めたきっかけはなんですか?
元々、写真に全く興味はありませんでした。ただ、富山県庁に就職してから、休日にすることもなくダラダラしているのがもったいないなと感じて。趣味になればと思い、カメラを買ったのがきっかけです。

ーーどうして写真を趣味に選んだのですか?
高校生の頃から「富山には何にも無いな」とずっと感じていました。でも、自分が知らないだけで何かあるんじゃないかと。また、SNSで県内外の素晴らしい写真を見て、自分もこんな風に富山の写真を撮りたいと思い、本格的に撮り始めました。

平成28年に射水市のフォトコンでグランプリを受賞してからは、どっぷりはまりましたね。

「明日を繋ぐ希望の架け橋」
フォトコンテストのグランプリを受賞。
写真にはまるきっかけになった。

この時は特にこの構図を意図して撮影に向かったわけではないですが、偶然、水たまりを見つけたときに、良い感じで水面の反射を利用した写真が撮れそうだなと思って撮影しました。

ーーその後、平成31年にアサヒカメラと東京カメラ部共催のフォトコンテスト「日本の47枚」の富山県枠で入選されました。

「暴れ雲」
雲海が散居村を飲み込むような様子から名付けた。

これは南砺市の医王山から撮影した散居村です。コンテストに入選し、渋谷ヒカリエで展示していただきました。

ただ、この展示会に行ったことで「このままでいいのかな」とすごく感じたんです。

ーー「このままでいいのか」というと?
多くの作品が展示されていたのですが、みんな同じ場所に行って、定番の構図の写真を撮っている印象を受けました。自分はあまのじゃくな性格なので、みんなと同じ写真なんて面白くないなと感じて。

それからは、あえて撮影に適した条件を外して、雨の日に行ってみたり、ベストシーズンを外して撮影してみたりとか。他の人と異なる写真を撮りたくて、試行錯誤しました。

ーー令和2年に入ると新型コロナが流行しました。撮影への影響はありましたか?
行動が制限されていたこともあり、それまでは富山県内だけで撮影していましたが、県外の魅力的な自然風景も撮影したいという気持ちが少しずつ芽生えてきました。

緊急事態宣言が明けてからは、県外の人が少ない場所に出向いて撮影していました。そこで、撮影機会を逃したら二度と撮れない、そんな風景があることにふと気づいたんです。

「霧幻の楽園」
志賀高原で撮影したワタスゲ。
この年以降あまり咲いていないという。

気候の変化でこれまで咲いていた花が咲かなくなる、動物の食害で花が食べられてしまうなど、自然環境の変化で、いつでも撮れると思っていたものが撮れるチャンスが無くなることに気づきました。

例えば、志賀高原で撮影したワタスゲは、この年以降あまり咲いていないんです。だからこの写真は二度と撮影できないかもしれません。

ーー写真への向き合い方や被写体を変えていく中で、朝日新聞社などが主催している「日本の自然」写真コンテストで入選されました。
富山県外の被写体で受賞した初めての作品で、長野県安曇野市のしだれ桜を撮影しました。試行錯誤の結果、生まれた写真だったのですごく嬉しかったです。

「桜花絢爛」
第39回「日本の自然」写真コンテストで入選した。

朝焼けでピンクがかった空も相まって「屏風に桜の花が描かれている」、そんな写真になりました。

ーー撮影する時に意識していることはありますか?
撮影場所で自分が感じた空気感が伝わるように撮ること、そして「主役と脇役を意識する」ことを心掛けています。

写真の基本は、主役を際立たせるために余計な要素は入れない「引き算」なんですが、主役だけが目立つ写真だと、単に「綺麗な写真だな」で終わってしまうんです。

木や花が主役の写真に写る霧や朝焼けなど、脇役が配置されていることで、写真の中に奥行きが生まれたり、ストーリーを感じることができる。

そうすることで、写真を見てくれた人が想いを馳せる、少しでも長く見てもらえる写真になると思っています。

黎明の雨晴海岸

ーー島田さんの写真は、趣味という枠を越えて、観光マップや広報誌「ねまるちゃ」など様々な県の媒体で使われていますね。
個人的な職員のつながりや職員文化祭での写真集展示から、声をかけていただきました。雨晴海岸や五箇山を撮影した写真を提供しています。

最近は、所属している航空政策課の業務の一環で、富山空港に3年ぶりに降り立つ国際便の様子を撮影しました。仕事で自分の写真が使われるのは、嬉しいですし、ありがたいです。

ーー写真を提供するにあたって心掛けていることはありますか?
観光パンフレットや広報誌で写真を活用いただくときは、その場所に行けば、絶対にそのとおりに見える写真が使われなければ駄目だと思っています。

撮影場所や構図が特殊だったり、加工が強すぎても良くない。肉眼で見たとおりの風景になるように心掛けていますが、それはそれで難しい。

ーー最後に、県内外で撮影してきた島田さんから見て「被写体としての富山の魅力」を教えてください。
県内どこからでも見ることができる立山は、富山でしか撮影できない風景です。他にも自然豊かな県なので、魅力的な被写体は多いと思います。

ただ、天候や季節に左右される、観光地が偏在していることは、弱みでもあると思います。富山にはまだ気づかれていない面白さがあると思うので、撮影スキルを磨き、新たな魅力を掘り起こせるよう撮影に臨みたいです。

富山県民会館で8月14日(月)まで開催されている「日本三霊山パネル写真展」でも島田さんの写真が展示されています。「様々な場所、撮影条件で立山を撮影しているので、是非見に来ていただきたいです!」とのこと。入場は無料。ぜひご覧ください。

また、島田さんのHPからも写真を見ることができます。


おわりに

いかがでしたか。趣味が仕事につながるってすごいですよね。

県庁ではほかにも様々な趣味を持った職員が公私で活躍しています。自分時間を充実させて、ウェルビーイングな生き方を実践できているなと感じます。

私も新しい趣味を見つけたくなりました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

文:BEYOND編集部
改編:広報・ブランディング推進室 新田


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