見出し画像

能登半島豪雨から2週間−被災地支援業務で、珠洲市に行きました。

こんにちは。広報・ブランディング推進室の高松です。

石川県能登地方を襲った記録的豪雨から、間もなく3週間が経過しようとしています。元日の能登半島地震からの復旧が進むさなかの災害でした。どこまで被災者の皆さんに追い討ちをかけるのかと、胸が締めつけられる思いです。被害に遭われた皆様には、心からお見舞いを申し上げます。
 
この災害を受け、富山県からも消防や警察、県庁職員が被災地での支援業務に当たっています。私も10月3日(木)~7日(月)の5日間、珠洲市に行ってきました。


珠洲に到着

県庁を出発し、能越自動車道、のと里山海道を通って珠洲市に向かいます。

道路は地震により路面が陥没するなど大きな被害を受け、先月全線対面通行が可能になったばかりです。まだ路面状態の悪い箇所がありましたが、それでも能登への大動脈が繋がっているのといないのとでは、支援や復旧にかかる時間も大違いです。

能登地方に入ると、土砂の崩落現場や道路に流れ着いた流木に遭遇。瓦が落ちていたり、ブルーシートで補修されていたりする家も1軒2軒ではありません。

まちの至る所で震災と豪雨の爪痕を目の当たりにし、被害の甚大さを改めて実感しました。

至る所に土砂や流木が。

現地での担当業務

私たちは、住家の被害認定調査(一次調査)を担当しました。

一次調査では、外からの目視で損傷や浸水の深さを確認し、全壊・半壊等の被害の程度を認定します。この認定結果は、罹災証明書の基礎資料として使われます。 

被災者の皆さんの生活再建に直結する判断を下すことの責任を感じながら、特に水害の場合は日にちの経過とともに被害状況が分かりにくくなるため、スピーディーに調査することを心がけました。

浸水痕の深さを測定。

調査中に住人の方に話しかけられた際には、「調査を前に進めなければならない」という思いと「もっとゆっくりお話しをお聞きしたい」という気持ちが錯綜します。

それでも「話せて心がスッキリしました」と感謝されると、淡々と調査するだけが私たちの役割ではないということを痛感しました。

と同時に、被災者の皆さんの心にどう寄り添うのかが今後の大きな課題だと感じました。

土砂崩れにより、橋が崩落した地域。

滞在期間中は、土砂が堆積しているエリアにも調査に行きました。足場が悪いため、赤白ポールで深さを確認しながら慎重に進みます。

慣れない業務に多少の不安や戸惑いはあったものの、私たちには想像もできないほど大変な思いをされている被災者の皆さん、休みなく働いている珠洲市の職員の皆さんを前に、大変などとは言っていられません。

特に被害の大きかった大谷地区では、1階部分が土砂に飲み込まれた家屋も。

不動産鑑定士の活躍

被害認定調査は通常2人1組で行いますが、今回はそれに加え、不動産鑑定士の方が1班に1人ついてくださりました。

陣頭指揮を取るのは、東京都不動産鑑定士協会会長・佐藤麗司朗さん。

佐藤さんは首都直下型地震の発生に備え、東日本大震災の前から被災地復興支援事業に携わり、東日本大震災発生時には、東京の避難所で弁護士や税理士など士業の方による合同相談会を開催されました。

ところが相談会を開いても、実際にできたのは「被災者の方の不安な気持ちをお聞きして、情報をネットで調べてお伝えする程度だった」そうです。

「専門士業って何なのだろう」と無力感を抱かれる中、2013年6月の災害対策基本法改正により、市区町村長による災害時の罹災証明書発行が義務化されます。

この改正を受けて、佐藤さんは罹災証明書発行のための住家被害認定調査を「災害発生時において不動産鑑定士に求められる社会的使命」と位置付け、調査する職員を鑑定士が支援する体制を構築されてきました。

支援業務に当たる職員に講義を行う佐藤さん。

2016年の熊本地震発災時には、南阿蘇村で143日間も現場での指揮をとられたとお聞きし、頭が上がりませんでした。

と同時に「困っている方の助けになりたい」という、公務員になろうと決意した時の気持ちを思い出しました。

今回も鑑定士の皆さんがいらっしゃらなければ、調査に何倍もの時間がかかっていたと思います。鑑定士の皆さんが輝いて見えました。

朝礼後、珠洲市の職員、不動産鑑定士と一緒にその日の調査エリアを確認します。

住民の方とお話しして

被害状況が目視だと分かりにくい場合などは、住民の方に聞き取りを行うこともあります。

「私よりももっと大変な思いをしている人がいますから」と控えめにおっしゃる方。「命が助かっただけでも本当に良かった」と、前を向こうと自らを奮い立たせていらっしゃる方。

そんな皆さんの様子を目の当たりにすると、「頑張ってください」と軽々しく言うことはできませんでした。

一緒に調査してくださった現地の鑑定士さんの「ようやく住民の方の目に力がみなぎってきたのに、今回の災害…」という言葉は忘れられません。

地震による被害か水害による被害か分かりにくいケースも。

おわりに

まもなく冬がやってきます。地盤の緩みや建物の傾きがある中、雪による被害が特に心配です。また、寒さの中での生活や復旧作業もより大変になることが予想されます。

一日でも早く、能登地方の復旧・復興が進みますように。
被災者の皆さんが、心からの笑顔を取り戻せますように。 

5日間の派遣期間は終えましたが、現地での支援業務だけが支援ではありません。微力ながら、自分にできることを考え続けたいと思います。

私たちが拠点としていた珠洲市民図書館には、愛媛の小学生からのメッセージが。子どもたちの提案だったそう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

採用情報はこちらからどうぞ。