まちなかの未来をつくる。/富山県庁周辺エリア活性化プロジェクト進行中
こんにちは。県有財産活用推進課の本間です。
富山県庁のすぐ近く、北東側に大きな敷地があります。ここにはかつてNHK富山放送会館がありました。令和4年のNHK富山放送局の放送会館移転に伴い、県とNHKとの間で土地交換手続き(※)が行われ、現在この旧NHK富山放送会館跡地(NHK跡地)は県が取得し、県有地となっています。
今回は、未来の街の活性化に向けた、このNHK跡地を含む県庁周辺エリアの有効活用に向けた県の取組みについて紹介します。
県有財産活用推進課について
県有財産活用推進課は、今年の4月に新しくできた部署で、①自治体と民間事業者が連携してサービス提供を行う「公民連携」、②人口減少や住民サービスが多様化する中で公共施設の在り方を考える「ファシリティマネジメント」、そして③土地・建物をはじめとした「県有財産の活用」の3つの業務を主に行っています。
NHK跡地を含めた県庁周辺のエリアは、富山駅とまちなかの商店街地区の間にあり、富山の「玄関口」として重要な位置にあります。このため、このエリアの有効活用に向けて検討を進めることが、当課の大きなミッションの一つとなっています。
県庁周辺エリアの歴史
土地の有効活用を検討するにあたり、その土地の歴史や魅力を活かすことも重要となるため、県庁周辺エリアの歴史についてもご紹介します。
■馳越線工事と富山県庁舎建設
現在の富山県庁舎は、神通川の廃川地(川を埋め立てた跡地)に建設されています。明治時代までの神通川は、富山市中心部で大きく蛇行しており、毎年のように市街地に洪水の被害をもたらしていました。
これを防ぐために、明治34年(1901)から川の流れを直線化する「馳越線工事」が行われました。現在の富山大橋から富山北大橋あたりの区間です。
この馳越線工事によってできた川の跡地は、昭和3年(1928)から始まった富山都市計画事業により、富山駅北と岩瀬を結ぶ『富岩運河』を掘った土砂で埋め立てられ、その後土地区画整理を経て、他の施設とともに現在の県庁舎が建てられました。
■富山大空襲による消失を免れ、国登録有形文化財へ
昭和20年(1945)8月の富山大空襲では、数発の焼い弾が県庁舎を直撃しましたが、かろうじて焼失を免れ、竣工当時の姿を今に残しています。
竣工当時は廃川地に県庁舎だけが建っている状態でしたが、その後次々と県庁別館や議事堂、県警本部が増築され、平成27年(2015)には県庁舎本館が国の登録有形文化財に登録されています。
■中心的景観を構成するエリアへ
また昭和40年(1965)には、県民の憩いと語らいの場となることを目的として県庁前公園が整備されました。園内中央には直径35mの大噴水、南西側には、富山県の置県100年記念として花時計が設置されています。
こうした変遷を経て、今では県庁周辺エリアは、緑に囲まれたオフィス街の中心的景観を構成しています。
今後の活性化の検討とありたい姿
県では昨年度、基礎調査やヒアリング、県・富山市の若手職員、富山大学の学生で構成されたワークショップを通じて、県庁周辺エリアの現状と課題、ありたい姿を整理しました。あわせて、県庁内に新たにプロジェクトチームを設置し、県有地の活用の方向性について検討を開始しています。
また経済界でも、「富山県庁周辺エリアマネジメント懇話会」が昨年10月と今年5月の2回開催されました。
これらを踏まえ、以下3つのありたい姿を目指すこととなりました。
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歴史・水辺・緑を活かしてまちの中心における憩いと愉しみの空間を形成し、来街者・従業者・居住者のウェルビーイングを向上させるエリア
まちなかの連続性・回遊性を高めて、まちをシームレスにつなぐとともに、周辺街区に賑わいの好循環をもたらすエリア
公有地を舞台に県内外の多様なプレーヤーが集まり、産学官民連携や人々の交流が積極的に行われ、富山のまちの核として求心力と発信力を生むエリア
県庁周辺エリア未来ビジョンとりまとめに向けた論点整理はこちら
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今年度はこの動きをさらに進めるべく、具体的な基本構想の検討を行うこととしています。
まずは使ってみよう&アイデア募集
NHK跡地の土壌調査が終わる今年10月頃からは、NHK跡地を中心とした県庁周辺の県有地の暫定活用を行うこととしています。
民間事業者や団体、学生の皆さんなどに短期的にイベントや事業を行っていただくことで、今後の活用策の検討やプレーヤーの育成・発掘、まちの賑わい創出につなげたいと考えています。申し込み方法等の詳細が決まりましたら、県の広報媒体等で情報発信を行う予定です。
また、このエリアのコンセプトや、具体的な整備プランのアイデアなどを幅広く募集するアイデアコンペも行う予定です。こちらも応募方法の詳細が決まりましたら、情報発信を行うこととしています。
ジブンゴトとして考える
県庁周辺エリアは、私たち県職員だけではなく、多くのオフィスワーカーが毎日通い、人生の多くの時間を過ごしている場所です。また富山の「玄関口」に位置していることから、多くの来街者が訪れる場所でもあり、高いポテンシャルを持った場所だと考えています。
県としては、県庁周辺のエリアが富山のまちの核として県民のみなさんのウェルビーイング向上につながるよう、多くの方を巻き込みながら検討を進めていきたいと思います。
これから20年、30年と、このエリアに関わる学生やオフィスワーカーの皆さんにも「自分がどんなところで、どんな風に働きたいか」「どんなまちで、どんな風に過ごしたいか」ということをジブンゴトとして考えていただき、この取組みに興味を持っていただけると幸いです。
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