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若者の県外流出に悩む富山県で、県外に出る若者を応援するプロジェクトができた理由。

富山県では、今年の2月から「I'm Your Home.富山県」プロジェクトとして、進学や就職で県外に進出する若者や、挑戦する若者を応援するための企画を実施しています。

この記事では、プロジェクトの紹介と、若者の県外流出が課題となっている富山県で、県外に出る若者をある意味「送り出す」ような企画が立ち上がった背景をお話ししたいと思います。

プロジェクトの概要

今回のプロジェクトでは、進学や就職で県外に出る若者をはじめとして、挑戦する若者を県全体で応援する気持ちが伝わるような企画にしたいと考えました。

そこで、保護者からの「エール」と「本音」のメッセージや、地域の方から若者に向けた応援メッセージを集めて、県外に出発する起点となる富山駅前を中心に懸垂幕やフラッグ等にして展開しました。

プロジェクトムービーも制作しています。

プロジェクト立ち上げの経緯

今年度、私が広報課に配属されて前任者から引き継いだミッションは「若者に富山県の魅力を伝える」ことです。そこで、最初に考えたのは「若者が気づいていない富山の魅力」って何だろう。ということでした。

よく県が紹介しているのは「雄大な立山連峰」「美味しい水」「新鮮な海の幸」「人の温かさ」etc…。

どれも自信を持ってお勧めできるものばかりです。一方で、これらは県外に出て初めて「良かったな」って気づくことが多く、県内にいるときに魅力として意識してもらうことは難しいように思われました。

しかも、「若者に富山県の魅力を伝えること」の背景には「若者の県外流出を防ぎたい」という県の思惑があるわけですが、それを若者に押し付けて県内にとどまらせようとするのは、「違うんじゃないか」という気がしました。

そこで、スタートラインに戻って「県外に出る若者のウェルビーイング(幸せ)(※)」を考えたとき、県の魅力を必死にPRして県内にとどめようとするのではなく、県外への進出や挑戦する際の不安に寄り添い、それを応援する方が、結果として心の中に「いつでも帰れる場所」として富山県を意識してもらえるのではないかと思いました。
※ 富山県では、成長戦略の中心に「ウェルビーイングの推進」を掲げ、「一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きる」富山県を目指しています。

また、「新たに挑戦しようとする富山の若者を応援する」というコンセプトは、県民の皆さんにとっても、共感を得られるのではないかという気がしました。

人口減少に悩む県が「県外に出る若者」を応援して良いの?

「県外に出る若者を応援する」という事業は、これまで富山県としてはほとんど実施していないように思われます。
それは、若者の県外流出が課題となる中で、「県外に送り出す」ということに踏み出し切れていなかった側面があるのかもしれません。

企画への反対意見が出ることも予想されたため、課内のメンバーや関係課にも、問題がないか相談しながら進めましたが、意外にも前向きに受け止めてもらうことができました。

「新しいことに挑戦する」という富山県庁の組織マインドも影響したのかもしれません。

実施しても大丈夫そうだということになり、県庁では少し珍しい「県外に出る若者を応援する」プロジェクトがスタートしました。

文:広報課 新田

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